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🇿🇦 Johannesburg / South Africa

二極化した街の段ボール

NRT ---✈️--- JNB

段ボール集めの地として2018年は南アフリカ、エジプト、エチオピアと旅してきました。


第一印象は平穏な街


南アフリカと聞くとあまり馴染みがなく、治安の悪いことでしか知られていないかもませんが、実は日本でも多くの「南アフリカ産」フルーツがやってきています。そのため段ボールという視点でみると、とても気になっていた国の一つでした。

南アフリカの首都であるヨハネスブルグを目指し、成田から乗り継ぐこと17時間。O.R.タンボ国際空港に到着しました。評判と違って空港の雰囲気は落ち着いていて、市内への電車も快適でした。車窓から見えるはじめての景色も平穏な感じです。

宿泊地として選んだサントン地区はヨハネスブルグの中でも高級住宅街や、建設中の高層ビル、ショッピングモール等があるヨハネスブルグでも新しい地域。英国の統治時代の激しいアパルトヘイト政策を経て、マンデラ大統領の政権が誕生。その後は白人、黒人が混在するようになりました。このような経緯から南アフリカは白人の多い国で、文化もヨーロッパ的。サントンという地区はヨハネスブルグの中でも裕福な場所でまったく危険とは無縁の場所ですが、段ボールも無縁のようで、落ちている段ボールはありませんでした。

ダウンタウンへ


サントンから車でダウンタウンへ向かいます。車で30分ほど行くだけで、雰囲気も変わっていき、サントン地区と比べるとビルも大分寂れた印象になってきました。

平穏が一転!世紀末の街へ


サントンから車で30分ほど行くとヨハネスブルクの中心部、ダウンタウンがあります。ここから雰囲気はガラッと変わり世紀末のような様相となります。街はゴミで溢れ、人々は徘徊し、目つきも非常に怖くなります。多くの店は閉店してしまっていて、営業しておらず、ホテルも廃墟となっています。信号機はなぎ倒されてました。ドライバーからもカメラは隠すように、と言われ、乗っている車はドアロックされます。車を降りても極力外を歩かずヨハネスブルグを一望できるカールトンセンターの"TOP OF AFRICA"に向かいました。

TOP OF AFRICA

ダウンタウンが荒れ始めたのはアパルトヘイト廃止後の70年代以降だそうです。アフリカ中から移民が職を求めてやってきて、しかし来たところで職がなく、徐々に犯罪が多発するようになります。お店やホテルは廃業を余儀なくされ、無法地帯化。こうして世界一危険な街として知られるようになりました。そのためダウンタウン地区にはほとんど南アフリカの人が住んでいないのです。

ダウンタウン地区とサントン地区、この2つは全く別の国のといってもいいでしょう。スラム街を抜け、道一本向こうに行くだけでセキュリティーの固い高級住宅街。ドライバー曰く、南アフリカの人は、よほどのことがない限りダウンタウンは避けて通るそうです。いわばヨハネスブルグはドーナツ化現象真っ只中。ダウンタウンを残して周囲に安全な街が形成されていったのです。

さて、このような二極化は段ボール拾いに大きく影響していました。一旦ダウンタウンを離れ、郊外のスーパーへ向かいました。ごく普通のスーパーですが、店内には段ボールが沢山!思わず写真を撮りたくなったので撮影していると、撮影は禁止!と怒られてしまいまいました。しかし、見かねたチャーターのドライバーさんが交渉してくれてスーパーの裏を見せてもらいました。

SUPER MARKET

スーパーの裏側へ潜入!


スーパーの裏にはたくさんの南アフリカ産の食材の段ボールが積まれていました。何個か譲ってもらえることになりましたが、1箱あたり5rand(40円ほど)で購入する必要があります。ここで気になった段ボールを3つほど手に入れました。
最初はめんどくさそうだったスーパーのおじさんも、僕のテンションに押されてきたのか、段ボールのプレス機まで案内してくれました。その場で出た段ボールはすぐさま圧縮されてしまい、古紙回収業者が買い取りにきます。スーパー側からすると、段ボールも資源としてお金になるのでロスは避けたいところでしょう。

ドライバーさんにも手伝ってもらってヨハネスブルグで段ボール探しです。まさかこんなツアー客はかつていなかったのでは...?車に詰め込んで再びダウンタウンへ向かいます。

ダウンタウンのすべてが危険な地区というわけではありません。南アフリカのストリートカルチャーを象徴する「グラフィティー」はダウンタウンで見ることが出来るのですが、このあたりはとても落ち着いているように見えました。時に世界的な大会も行われ、有名なグラフィティーアーティストを輩出している場所でもあるそうです。どれも力強く、目を見張る配色です。

ダウンタウンはゴミだらけですが、意外にも段ボールは落ちていませんでした。よく見ると皆段ボールを抱えたり、車に積んで移動しています。行く先は段ボールを換金してくれる交換所。ペットボトルの回収場所もあったりして、ダウンタウンに住む多くの人にとって資源ごみは大切な収入源になっているのです。

この時点の成果はスーパーで購入した3箱の段ボールになります。高級な地区と貧困な地区、どちらも段ボールが手に入りにくいのは共通しています。それは段ボールが資源であり、大切だからと言えます。

FRUIT MARKET

いよいよ旅の最終目的地"Fruit Market"へ


翌日は念願の公設市場へ行きました。ダウンタウンの外れにあるのこの市場は築地のように卸業者があつまって仕入れて帰っていきます。一般人もここへ入れるのはもっと小規模店や消費者向けのマーケットがあるからです。そこはまさに段ボールの宝庫!南アフリカ産の見たことのないデザインの段ボールがずらりと並んでいるのです。

段ボールの嗅覚が早速反応しました。市場ゾーンは日本と同じように大きなトラックをつける場所があって、果物を詰めた段ボールが運ばれていきます。段ボール以上にネットを使った流通が多い印象です。着いたときは12時前でしたがすでに市場は閑散としていて仕事を終えたスタッフがたむろしていました。

活気あふれる小規模店舗向けマーケットはテニスコート6つ分くらいのエリアで囲まれています。目に映る段ボールはどれも鮮やかでものすごくパワーを感じました。どれも日本では見たことのない段ボールばかりでどれも欲しい...なんとなく段ボールのそばにいるおじさんにこれが欲しい、と伝えると"NO NO"と断られてしまいました。こうやって、いい段ボールを発見するたびにもらえないか交渉するのですが、みんなNOの一点張り。最終的には、とにかく何でもいいから持って帰りたいと思って手当たり次第お願いするも、やっぱりもらえない。なんてケチな人たちなんだ、とその時は思いました。

しかし、あるお姉さんに交渉するとゆずれない理由を話してくれました。それはどの箱もかぶせるタイプの箱で、かならず2箱で対になっているのです。つまり、外箱をあげてしまったら内箱だけが残ってしまう。そうすると商品が持って帰れなくなってしまうということだったのです。この理由にはすごく納得しました。確かに自分もワークショップで使う道具箱の外箱だけ持っていかれてしまったら持って変えるのが大変です。よくよく見てみると、一見無造作に置かれている段ボールがすべてちゃんと内箱、外箱のままセットで使われているのです。外箱単体で使われている箱もバックにちゃんとその対の箱が保管されている。ものすごくしっかりと管理されていることに気づき、びっくりしました。あらためて上の写真を改めて見てみてください。外箱と内箱がちゃんとどれもセットで使われていますね。

デザインのパワー


予想外に収穫の少なかったフルーツマーケットを後にしました。沢山歩きましたが収穫はこれだけ。ですが、南アフリカのデザインのパワーには圧倒されました。色使い、形の選び、どれも活き活きとしていて、存在感を感じる力強いデザインは眺めてて元気が出るくらいです。それは、街の中でみた力強いグラフィティーと共通するのかもしれません。そして南アフリカの歴史の中で形成されていった生きる力強さが段ボールに反映されているのかもしれません。

今回は貧困街、高級住宅街、二極化してるなら段ボールの収穫にも違いがあるんじゃないか、そういう期待もあったのですが、どちらも段ボールは貴重な資源として捉えられているのは考え深い結果だと思いました。そして南アフリカ産の段ボールは日本にいたほうが遥かに拾えるというのが結論です。

次は南アフリカを後にし、エジプトへ向かいます。