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愛媛みかんの段ボールを知る


Nov.25th
2016

Writen & Photo By
Fuyuki Shimazu

段ボールの代表ともいえるみかんの段ボールは「みかん箱」とも呼ばれ、古くから親しまれてきました。今でも段ボールと聞いて思い浮かべる箱の一つではないでしょうか。みかん段ボールの魅力は何と言ってもデザインの豊富さにあります。これは一つの品目でたくさんの農家や会社が生産するため区別する必要があるからかもしれません。今回は日本一の柑橘の産地「愛媛みかん」についてまとめました。なんとなく街でみかける段ボール。しかし掘り下げていくと、とても奥深いことがわかってきました。

段ボールが消える時期

一言に「みかん」と言っても時期を分けてたくさんの種類のみかんが収穫されます。そして、どんな愛媛みかんの段ボールに出会えるかはみかんの収穫時期に関係してきます。

これは愛媛みかんの年間のカレンダーです。柑橘類の収穫量は日本一(温州みかんのみだと和歌山に次いで2位)品種は48品種にも上ります(資料:2016年「果樹栽培状況等表式調査」)我々がよく食べる一般的なみかんは「温州みかん」と呼ばれ、主に秋から冬にかけて生産されます。甘夏や清見などは初夏から夏にかけてが旬になります。そして収穫が止まる8月から9月にかけては愛媛県内ですらみかん箱が出回らない、枯渇した時期になるのです。また市場に出回るみかん箱の殆どはダブルフルートとよばれる丈夫な段ボールのため、いろいろなシーンで重宝します。そのためお店や家庭ではストックする人が多いようです。

JAと共選と農家

これは愛媛県内にあるJAの地図です。全部で12箇所、そしてこれらを一括りに「JA全農えひめ」としています。すべてのJAでみかんを扱っているわけではなく、主な産地としては海に面した今治から宇和島までになります。なぜ海沿いが多いかというと、みかんの栽培には3つの光が必要と言われていて、「太陽の光」「大地からの(照り返しの)光」そして「海からの(照り返しの)光」です。海に面してみかん産地が多いのはこのようなたくさんの光がみかんを美味しく育てるからです。
試しにみかんの段ボールを見てみましょう。殆どの段ボールにJA全農えひめ、やJA◯◯と書かれていることが分かります。

(P1)箱をよく見てみると「JA全農えひめ」と書かれています。これだけでは愛媛のどこのみかんかは分かりません。
(P2)箱の横にを見れば愛媛のどこからか分かるようになっています。「JAえひめ中央」とかかれていれば、松山市や伊予市などからのみ生産されたことを意味します。丸に「え」のロゴが特徴的です。

このようにJAとは各地域ごとに拠点があり、農家で作られたみかんや作物が集まる場所なのです。また、みかんの品質を選定し分別し箱詰めする「共選」(JA)という場所を介して各地方に送られるのが一般的です。この共選は◯◯共選という名前がつき「ブランド」のような意味を持っていて、独自の販路を持っていたりします。また近年では農家がJAに加盟せず、ネット通販などのみで販売するケースも増えてきています。

八幡浜市内にある共選の内部。「光センサー」とよばれるセンサーで糖度を測り、等級を付けて箱詰めされる。収穫期になると写真にあるローラーの上をみかんが通過していくといいます。倉庫の中には箱詰めを待つ段ボールがたくさんストックしてありました。
(P1)みかん一つが200円以上もする高級みかん、真穴共選のブランド「真穴みかん 貴賓」
(P2)箱のどこを探してもJAの表記がないものはJAに加盟していない、独立系農家かもしれません。松山にて

色に隠された秘密

愛媛県内のみかん産地は大きく「松山(JAえひめ中央)」「西宇和(JAにしうわ)」「宇和(JAえひめ南)」「今治(JAおちいまばり)」などがあります。実はこれらを一瞬でどこの産地かを見分けるコツがあります。

松山市 JAえひめ中央

JA EHIME CHUOH

白箱に蛍光緑(または青)を基調としたJAえひめ中央の箱。特徴的な「え」のデザインはえひめ中央のロゴになっています。愛媛県のゆるキャラといえば、「みきゃん」特に県庁所在地の松山では多く見かけることができます。

八幡浜市 JAにしうわ

JA NISHIUWA

白箱に蛍光緑(または青)を基調としたJAえひめ中央の箱。特徴的な「え」のデザインはえひめ中央のロゴになっています。愛媛県のゆるキャラといえば、「みきゃん」特に県庁所在地の松山では多く見かけることができます。

宇和島市 JAえひめ南

JA EHIME MINAMI

白箱に赤を基調としたJAえひめ南の箱。宇を丸で囲んだロゴがポイントです。宇和島はリアス式海岸が広がり、日本有数の漁港街です。

この他にも今治は茶箱に青とオレンジを使っていることが確認できています。また配色は必ずしも沿っているとは限らず、品種や時期によって違うこともあるので一概には言えないところがあります。

デザインの個性

みかんの個性も段ボールから。デザインの主張は販売の上でも重要な役割を担っています。特に箱で買っていく卸売業者はその箱のデザインの好き嫌いも多少なりとも関係してくると言われています。おそらく何百とあるみかん段ボールですが、勝手に大きく6タイプに分けてみました。最も多いのは文字とみかんを重ねる「日の丸系」ではないでしょうか。みかんの段ボールと言われて思いつくデザインもこの辺りでしょう。いつを起源としているかは不明ですが、愛媛だけでなく、多くのみかん産地がこのタイプを使っています。一方、ネット通販の登場は箱のデザインをより自由に、楽しくさせつつあります。従来のデザインにはとらわれず、英語表記を使ったり、茶色、緑といった箱まで現れました。また八幡浜のみかん農家の方の話によれば、共選の販売するみかんはここ数年「黒」を使って高級に見せるのがブームとのことです。

あとがき

今回改めて知ったのは段ボールの重要性でした。さまざまな産地のみかんがある中で、箱を除いてしまえばどこのみかんか区別することは出来ません。段ボールがみかんを守ると同時に、どこで作られたかを知る機能があるわけです。逆に言えば段ボールで判断されるので、中身が他の産地と入れ替わっても気づくのは難しいでしょう。愛媛県ではそのような混合を防ぐため、その年にあまったみかん箱はすべて処分されてしまうそうです。このような話からもその重要性を垣間見ることができます。

この記事は八幡浜市で行った取材をもとに、多くの方の助言いただき作られております。